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【第4回】注文の多い利用者Dさんと仕事のできる介護職員のXさん ~拘束~

time 2019/04/01

【第4回】注文の多い利用者Dさんと仕事のできる介護職員のXさん ~拘束~

その日はXさんとのペアでしたが、事務所に課長がいたためか、彼は俄然張り切っていました。しかし、一本の電話が鳴って呼び出され、少し話した後に血相を変えて早退してしまいました。電話はXさんのお母さんからで、お祖母さんが危篤状態にあるとのことでした。

 

取り残された私が一人で右往左往している最中、フロアに悪臭が立ち込めてきました。ある入居者の下痢便が爆発しており、大惨事になっていました。事務所で仕事をしていた課長が察知してヘルプに来てくれました。よりによって、介護拒否の強い入居者の後始末。便まみれになった手で繰り出されるパンチをボクサーの如く避けながら、二人がかりで何とか処理します。

 

事態が収束し「そういえばDさん鳴らないね」と課長が言います。Dさんはいつもであれば、何故今なのかというタイミングでコールを押す達人です。鳴らないに越したことはないですが、無ければ無いで違和感を覚えます。居室に近付くとDさんの声が聞こえますが、やけに小さいのです。

 

入室するとDさんは手足をタオルで縛られており、口に猿ぐつわをされていました。コールを押そうにも、押せるはずもありません。

 

さすがにマズいと思い、課長に報告に向かいます。正直、日頃Dさんに振り回されている事情もあり、可哀想だとか怒りを覚えるというよりは、自分だと思われたら困るという気持ちが先でした。色々な意味で恐ろしい話です。

 

課長はポロシャツに便が付いた等とブツブツ言いながら、事務所の洗面所で念入りに手の消毒をしていました。他のスタッフは誰もおらず、Dさんの状態を伝えます。

 

慌てて居室に向かい、まずDさんを解放します。「最後の対応したのって誰?」と課長が尋ねます。知っていて聞かれた気がしましたが、「多分・・・Xさんだと思います」と答えます。

 

Dさんは大声であれこれと汚い言葉を吐いており、いつもならイラッとしているところですが、さすがの事態に耳に入ってきませんでした。

 

記録を見ると、Xさんの字で「部屋で休みたいと仰ったので、ベッドに横になっていた頂き、何かあればいつでも呼んで下さいねとお伝えしました」と書かれています。なるほど、言われた通りDさんは何かあって、スタッフを呼んでいたのです。

 

しばらく経ってからXさんから施設に連絡が入り、課長が対応しています。「うん・・・そう、分かった。こっちは何とかするから」

 

お祖母さんが亡くなったそうです。状況が状況なだけに、何も言えなかったのでしょう。Xさんは5日ほど休むとのことでした。

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