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【第5回】紙と鉛筆と認知症のCさん ~バザーに向けて~

time 2019/03/14

【第5回】紙と鉛筆と認知症のCさん ~バザーに向けて~

当日は息子さんも是非参加したいとのことで、皆の気運が一気に上昇しました。Cさん自身は特に自覚がないようで、いつも通り絵を描いています。没頭しすぎてなかなか食事をとらない、夜眠らないとの申し送りもありましたが、全くというレベルではないため黙認することにしました。

 

時折何かに対して怒って声を荒げることはありましたが、以前と大きく変化したのは、食べ物を探してウロウロすることがほとんどなくなったことです。Cさんの欲求は食事ではなく絵を描くことにシフトしたようで、手持無沙汰になると「紙と鉛筆はどこだ?」と探しまわるようになりました。

 

定期的に精神科の先生に診てもらっていましたが、「薬は飲まないに越したことはない」との考えで、ここまで没頭しているのであれば、一度薬をやめてみてはどうかとのことでした。また粗暴なCさんに戻るのではないかとの多少の不安はありましたが、やってみようということになりました。

 

1週間、2週間と経過しますが、良い意味で変化はありません。介護の世界で正解・不正解という言い方はあまり相応しくないとされますが、ことCさんへの対応としては正解かつ成功だったと実感します。

 

息子さんから、少し大きめの重たい包みが届きます。中にはCさんのアルバムが入っていました。本人に渡したところ、穏やかな表情で眺めていました。私たちも見せてもらいましたが、どこかで見たことのある女性や風景の写真がちらほらと。それぞれに、息子さんの字によく似た達筆で、簡単なタイトルが書いてあります。

 

そう、たまに現れる謎の女性は奥さん、田舎はCさんの生まれ故郷の風景、商店街は繁盛していた頃の金物屋から見た風景だったのです。バラバラに散りばめられた右下の西暦と日付は写真の時代とほぼ一致していました。Cさんは絵を描きながら、懐かしい時代にタイムスリップしていたのでしょう。

 

冷静に考えれば大して驚くような話ではないのですが、アルバムをめくる毎に謎が解けていくような感覚、まるで探偵のような気分で、妙に興奮してしまいました。

 

そうこうしているうちにバザーの日が目前に迫ってきました。個展でどのようにレイアウトするのかを皆で話し合い、ジャンル毎に仕分けしていきます。保存のためラミネートしようかと思いましたが、ひょっとするとCさんが手直ししたがるかもしれないと思い、そのまま掲示することにしました。

 

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