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【第1回】紙と鉛筆と認知症のCさん ~なんて日だ~

time 2019/03/10

【第1回】紙と鉛筆と認知症のCさん ~なんて日だ~

私がグループホーム(認知症対応型共同生活介護)で介護職員として働いていた時の話です。

 

定期ミーティングの際、3日後に新しい入居者(Cさん)が来ると発表されました。

 

Cさんは息子さんご夫婦と同居していました。奥様に先立たれてから不可解な言動が目立つようになり、認知症の診断を受けました。元々は心優しく寡黙な性格でしたが段々と粗暴になり、食べ物を探して家中を歩き回り、果てには近所のコンビニで売り物をその場で食べてしまい、警察のお世話になってしまいます。

 

昼夜を問わず大声で意味の分からないことを叫ぶようになり、時に息子さんらに手を上げることもありました。献身的な介護を受けながら何とか自宅での生活を続けていましたが、息子さんが仕事の事情で出張が増えたこともあり、グループホームへ入居に至りました。

 

他者への危害が想定される方は入居の適用外なのですが、空室が目立っていたこともあり、受け入れざるを得なかったのでしょう。ケアと精神薬コントロールを併用させて頂くとの条件で受け入れることになったようです。

 

不幸にもCさんの入居当日の夜勤は私が担当で、憂鬱な気分で出社します。申し送りで大体の状況を聞きますが、「ここはどこだ!」と一日中ウロウロしていたそうです。まさに「なんて日だ!」です。

 

恐る恐る挨拶し、隣の席で夕食をとります。「どうも、こちらは初めてですか?」と穏やかな口調でCさんに話しかけられ、内心「初めてはあなたでは?」と思いながらも何となく話を合わせます。

 

少し拍子抜けしながらもいつも通りの夜勤ルーティンで動きます。Cさんの介助は初めてですが、食後薬の服用~居室への誘導~口腔ケア~パジャマへの着替え・眠前薬の服用に至るまで、全てスムーズに進みます。他の入居者もそれぞれ居室に戻り、何ならいつもより調子が良いくらいです。

 

遅出のスタッフが退勤したため、フロアを消灯します。「さすが俺だな…」と酔いしれながらコーヒーを飲もうとした瞬間、廊下の奥の方からゆっくりと、見慣れない黒い人影がこちらに向かってきます。今までの夜勤ではいなかった人物、Cさんです。近付いて声をかける私に、「こんにちは、ラーメン1つ」

 

思わず笑いそうになりましたが、Cさんの目は血走っており、本気でした。一か八か「すいません、今日は閉店しました」と答えると、「そりゃ残念だ、ではまた」と戻って行きました。しかし、居室がどこか分からずウロウロしているので、案内してベッドで横になるのを見届けました。

 

その後間もなく、Cさんは大きなイビキをかいて眠り始めました。結局その日は一度も目を覚ますことなく、朝までぐっすり眠りました。

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