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【忘れない】監督義務者は誰だ?東海道線共和駅認知症老人死亡事件

time 2018/09/16

【忘れない】監督義務者は誰だ?東海道線共和駅認知症老人死亡事件

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【忘れない】監督義務者は誰だ?東海道線共和駅認知症老人死亡事件 ふくしの声

 

事件の概要

2007年12月7日に、認知症の高齢者(当時91)が、東海道線の共和駅の線路に入り、快速電車にはねられ亡くなりました。その高齢者は認知症を患っており、要介護4であり常に介護が必要な状況でした。週六日デイサービスを使い、妻と、介護のため横浜市から近所に転居した長男の嫁の介護も受けていた。自宅で妻と同居をしていましたが、妻も要介護1状態でした。事故の状況からトイレを探して自宅から線路に出てしまい、電車に轢かれたものだと思われました。事件当日は、妻の目を少しはなしたうちに自宅を出てしまい、線路に立ち入り死亡した様子でした。その後、JR東海が、電車の遅延等の賠償金として高齢者の遺族に費用を請求し、遺族側はそれを拒否して民事裁判となりました。

 

名古屋地方裁判所

2010年にJR東海は、最大で約2時間の遅れが出たとして、その対応にかかった費用720万円の賠償を求めて家族を提訴しました。

 

遺族側は、事故は予見できなかったと主張したが、判決は、医師の診断書などから男性の徘徊(はいかい)は予見できたとした上で、介護体制などを決めた横浜市の長男を「事実上の監督者」と認定。男性の要介護度が上がったのに、家に併設する事務所出入り口のセンサー付きチャイムの電源を入れるなどの対策をせず、妻も目を離すなど注意義務を怠った結果であり、男性が第三者に与えた損害は償うべきだとして、JRの求める全額の支払いを妻と長男の二人に命じました。

 

名古屋高等裁判所

2審名古屋高裁は「20年以上男性と別居しており、監督者に該当しない」として長男への請求を棄却。妻の責任は1審に続き認定し、359万円の支払いを命じた。

 

最高裁判所

最高裁で開かれた弁論ではJR側が「同居していた妻や介護の方針を実質的に決めていた長男には監督義務があったのに対策を怠った」と主張したのに対して、家族側は「一瞬も目を離さずに見守るのは不可能で、監督義務を課すと家族の負担が過酷になる」と反論していました。

 

「民法が定める夫婦の扶助義務は相互に負う義務であり、第三者との関係で監督義務を基礎付ける理由にはならない」と判断しました。一方で「自ら引き受けたとみるべき特段の事情があれば、事実上の監督義務者として賠償責任を問うことができる」としました。監督義務者に当たるかどうかは「同居の有無や問題行動の有無、介護の実態を総合考慮して、責任を問うのが相当といえるか公平の見地から判断すべきだ」と指摘しました。

 

その上で、「妻は介護に当たっていたが自身も要介護度1の認定を受けていた」と指摘。長男についても「20年以上同居しておらず、事故直前も月に3回程度、男性宅を訪ねていたに過ぎない」とし、いずれも男性を監督することはできなかったと認定しました。

 

裁判官5人全員一致の意見。岡部裁判長と大谷剛彦裁判官は「長男は事実上の監督義務者に当たる」と述べる一方、「デイサービスを利用する見守り体制を組むなど、問題行動を防止するために通常必要な措置を取っており、責任は免れる」などとする意見を述べました。

 

最高裁は3月1日、家族に賠償責任はないとする判決を言い渡しました。

 

判決後

判決後、東京都内で会見した代理人弁護士が、認知症で徘徊(はいかい)中に死亡した男性の長男(65)のコメントを読み上げました。「大変温かい判断をして頂き、心より感謝申し上げます。父も喜んでいると思います。8年間、色々なことがありましたが、これで肩の荷が下りてほっとした思いです」。

遺族の代理人を務めた浅岡輝彦弁護士は、判決後の会見で、「遺族の主張が全面的に採り入れられたすばらしい判決。認知症の方と暮らす家族の方にとって本当に救いになった」と、晴れ晴れした表情で話しました。一方で、「判決で全てが解決するわけではない。国の政策は。家族はどうするのか。責任能力がない人が起こした事故の損害回復はどうすべきかは簡単ではない」と課題も指摘しました。

 

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